森羅逍遥

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「映像研には手を出すな」第6巻を読む。 - オイレンシュピーゲル

2022/07/28 (Thu) 18:32:23

【アニメ】
テレビのアニメを見たのが先だった。第一回の頭10分は見逃した。ユーチューブでは画面の4分の1にのみ本編がすべて出ているものを一回だけ見たのだが、今はそれすらも見られないようだ。「未来少年コナン」が使われていたはずだが、一回見ただけで記憶も薄れた。
 浅草みどりの顔の造形、伊藤沙莉のガサガサ声、これではどうしても元気な男の子になってしまう。制服で女子と認識はするのだが、それはあくまでも理性の上でのことにすぎない。
百目鬼はいつもパーカーを着ているので絵から女子とは思えない造形。
金森さやかの造形・声がなかなか一致していて良い。実写版を見ようともしないのは、金森が普通の女子で面白そうに思えないから。ただ実写ソワンデがはまり役だったらしく、ちょっと見てみたい。
 設定を妄想する場面では効果音が声優の声によるものだという。このアイディアも面白かった。

【伊藤沙莉】
初めて認識したのは「ひよっこ」米屋の米子役。「うっわ~、こんな真っ平らな顔があるんだぁ」と思ったのが最初。いくら「平たい顔族」とはいえ、この平らさはないだろうと思ったが、その後何度も見るようになってみるとそうでもないので、カメラアングルに悪意があったとしか思えないが。


【単行本】

これまで書かないでおいて、6巻で書こうと思ったのは、「自由の問題」「ソワンデの自由と金森の自由」について引っ掛かりを感じたからだろう。
生徒会は、映像研の敵役のように描かれながら、なぜかつるんで行動(3巻)していたり、百目鬼を助けたりなど、陥れて何かをしようとはしていない。

 生徒に退学を言い渡すほどの権力を持つ生徒会。権威なのか権力なのか、それを勘違いする輩には苦々しい思いを抱くソワンデ。~5巻・百目鬼に濡れ衣を着せる警備部員(退学をちらつかせて自白を強要)がソワンデから「おまえ 退学」と言い渡される。生徒会長が警備部員に「退学を決めるのはあなたではありません!生徒会です!」ソワンデ「生徒会でもねえよ。バカのせいなのか権力が腐らせるのか、嫌だねほんとに。」 …自分で退学を宣告しておいて、なんじゃこりゃ、だけど。

 3巻でソワンデが「外に出すぎると守れなくなるぜ。」と言う。これが自由の問題の始まりか。

 4巻で、会計書類へのサインのためだけに、金森が生徒会に呼び出される。帰り、ソワンデに誘われる。
 ソワンデが金森に語る。「この学校は生きてんだろ。生徒と、外にはない自由がこの学校を生み出した。だが自由は脆く、自由の価値に気付く者は少ない。気付かれなければ価値は存在しえない。お前にはわかるか?自由の正体が。」
 金森「お誘いいただきありがとうございます。」と帰る。映像研に戻り、打ちのめされたような、消耗したような表情を浮かべ、「本日は、ラーメン。」と宣言する。

 意味がよくわからなかったものだから無視して、映像研の創作活動を追うことになるのだが、6巻で僕のような頭の悪い読者向けの解説が差しはさまれる。

 6巻で、「映像研には手を出すな」というタイトルが、ソワンデのセリフとして登場する。
 「なんであいつにあんな話したんだ。」とソワンデが独白するようなことを浅草に語る。つまり、ソワンデが理想とする、生徒が生き生きとする状態が作られているが、外部の力が入ると自由が危機にさらされる、これがジレンマだと打ち明ける。映像研を目の敵にしているのではなく、映像研によってもたらされる活性を維持しつつ外部の悪影響をどう阻止するか、それがソワンデの行動の基底であるらしい。外部には、さすがの生徒会も力を行使するわけにはいかない。映像研の行動を制限・コントロールする方向しかないのだろう。
 金森の行動の基底は「私が好きなのは金じゃなく、利益を出す活動です。」なのだろう。アニメ制作への熱量が中心テーマなのだろうけど、なぜか、この二人の行動のほうに目が向いてしまう。

「映像研には手を出すな」第7巻を読む。 - オイレンシュピーゲル

2022/12/01 (Thu) 22:01:24

しょっぱな、金森とソワンデがファッション誌のモデルをやる。なんじゃこりゃ、まるで漫画だ!な展開なのだが、これは何かの伏線になるのだろうか。
例えば、このことをきっかけに、ソワンデ自身が外部の力を学校へ引き寄せることになってしまうのではないか。窮地に落ち入るソワンデは、映像研と手を組み外部の力と戦うことになるのではないか。
金森「ここらで人に貸しを作っておいたらどうですか。」 ソワンデ「この貸しは高くつくぞ。」ソワンデはどのように借りを返してもらうつもりだろうか。

 6歳の水崎ツバメが銃の反動をうまく演じすぎたため、お蔵入りにしてしまった映画の監督が、不良中学生サクラダの父親! 「ハイコンテクスト」がわからなかったサクラダが、この巻では自分で言い出す。いきなり作劇法に切り込み、才能を開花させる。不良サクラダが更生までしてしまう。

 サクラダ親子の持ってきた別な高校のアニメーションが「リトル・ニモ」のオマージュだというのは、岡田斗司夫のユーチューブを見ていたからわかったものの、そうでなければ何のことやら、というものだろう。

 映像研は生徒会との15分間の戦闘の間にサクラダのアフレコを終え、コンテストへ向かう。
 「元」そこそこの映像作家たちの頓珍漢な講評に怒る映像研。300万円の賞金を棒に振ってでも何かやらかしそうな気配。「映像研の敵・古い大人たち」=ソワンデの言う「学校の自由をつぶす外部の力」という構図で、共通の敵と戦う物語になっていくのだろうか? サクラダ父(アメリカで成功している?)はどう絡むのか?

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